多磨全生園

多磨全生園は、東京都東村山市の東北端にあり、清瀬市の西端に隣接し、新宿の西方21㎞、埼玉県所沢市の東南方4㎞の狭山丘陵の東外れに位置しています。武蔵野の雑木林に包まれた緑地の多い静かな自然環境のなかに、352796㎡(東京ドーム7.5個分)の敷地面積を有しています。園内には、住居地区や診療施設、ショッピングセンターや床屋等の生活関連施設がありますが、特徴的なのはお寺や教会、神社といった宗教施設が点在していることです。

 ハンセン病は、慢性感染病です。しかしその感染力は弱く、成人の感染はまれと考えられています。特徴は、末梢神経障害と皮膚病変です。末梢神経障害の感覚障害によって四肢末梢の感覚の低下や消失によって火傷や傷を作りやすく、重篤な場合は切断となってしまいます。運動障害は筋の萎縮などにより手指変形や瞼の開閉困難となって失明まで及んでしまうことがあります。自律神経障害は発汗障害による体温調整の不十分や皮膚障害がみられます。皮膚病変は、皮疹や斑紋が初期症状として診られることがあります。

 病気の原因であるらい菌は、神経に入り込んで増殖するため先に挙げた変形や機能障害が生じ、古来より差別的な扱いを受ける一因となっていました。不治の病と考えられていた時代もありましたが、現在は治療方法が確立され、薬物療法による早期治療で完治が可能となっています。

 日本では新規発症は年に数例ですが、世界的には現在でも年間約25万人が新規患者として報告されています。

 ハンセン病は差別や偏見により隔離といった悲しい歴史があります。1996(平成8)年に隔離政策の柱であった「らい予防法」が廃止され、1998(平成10)年には熊本国家賠償訴訟判決が出て、ハンセン病の隔離政策に幕が下ろされました。

 リハビリテーション科は現在医師3名、理学療法士5名、作業療法士2名、言語聴覚士1名、義肢装具士2名、助手1名のスタッフで運営しています。リハビリテーション業務は入園者への対応ですが、内容は整形外科疾患が多くそれ以外にも循環器や呼吸器など多岐にわたっています。リハビリテーションを行う上では末梢神経障害を考慮する必要があります。末梢神経障害には、感覚障害・運動機能障害・自律神経障害がありますが、いずれも該当する方が多くまた二次障害として失明や切断をされている方もおられます。

 現在では入園者の高齢化が進み、今過ごされている状態をいかに継続していくことができるかが重要な目標と考えられます。そのために機能維持の運動療法や疼痛緩和などのための物理療法を実施し、疾病・疾患や痛みなどへの対応のみならず、入園者本人が望まれる日常生活が少しでも長くできるような支援を行っております。